12月9日、川越市立川越高等学校で埼玉県高等学校理化研究会「化学研究大会」が行われました。埼玉県内の高等学校化学教員37名が集まった今回のイベントでは、高純度化学研究所より構造色の実験とゴムの実験の2種類を紹介させていただきました。3時間に及ぶ長丁場の実験でしたが最後の最後まで熱気に満ち、しかも今まで体験したことのない実験だったということもあり、“勉強になった”、“楽しかった”とご意見をいただき大好評でした。順調に終わらせることができたのも先生方のお力添えがあってこそ。本当にありがとうございました。
構造色の実験
1.アルマイトの虹色着色実験
アルミ板にアルマイト処理を施し、さらに、ニッケル電解着色液を用いて色を付ける実験です。アルマイトは微細な孔を持ちます。その孔にニッケルを取り込ませるのですが、取り込ませる量によってさまざまな色を発現させる実験です。見る角度によって特定の波長の色が反射し干渉する現象は、シャボン玉、CD、モルフォ蝶やタマムシなどに見られます。
2.単一分散シリカを使ったチョークつくり
これはシリカ(SiO2)粉末を用いた実験です。このシリカでつくったチョークを黒い板上に描くと白色のチョークが青、緑、赤色に変化します。大きさが均一で形がそろったこのシリカ粒子は特定の波長の光のみを反射することで発現します。粉末を固めるだけのとても簡単な実験です。
ゴムの実験
1.ジョン・ゴフの実験
ジョン・ゴフをご存じでしょうか? 彼は1806年、「重りを下げたゴムは加熱すると収縮する」という、世界で初めてゴムの弾性の原因を探求した人物です。意外と知ってそうで知らないゴムの特性を再現しました。熱湯でゴムが縮む瞬間を目の当たりすると、化学の先生ですら“ウォー!”と感動の声を上げてしまいます。
2.ゴムの加硫実験
天然ゴムはそのままでは輪ゴムのような伸縮を示しません。ゴムの高分子鎖を硫黄と3次元に化学的に結合させることで初めて伸縮を示すようになります。この結合を架橋といいます。実際の輪ゴムの製造工程では、大型の混錬機で天然ゴムに硫黄と加硫促進剤を混ぜた後に加熱するのですが、高校の実験室の器具でもできるよう天然ゴムを一度溶剤に溶かし、硫黄と促進剤を加えた後にホットプレートで加熱することで出来上がるシンプルな実験にしました。といっても、出来上がったゴムはもちろん伸縮を示します。
高純度化学研究所では埼玉県内の高等学校に化学の楽しさを体感してもらうための出張実験を行っています。ご興味のある先生はぜひご連絡ください。
高純度化学研究所 経営推進室
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