11月2日(土)、株式会社ナリカさんの実験室をお借りして、高純度化学研究所が配信しているメルマガの読者10名と化学実験を行いました。
この実験は普段、高等学校に出張実験として行っている「ビスマス結晶つくり」と「マンガン平面電池の製作」の2部構成になります。参加した方は学校の先生、研究機関の研究者、化学とは縁のない企業で働く方だったり、また、その参加の動機も様々でした。
ビスマスを融かしてピラミッド構造を持つ色鮮やかな結晶をつくるだけではありません。ビスマスが持つ脆性といった物理的な性質も学んでいただきました。
さらに、電池の起源とも言われるボルタの電堆をつくって電子オルゴールを鳴らしたり、現行のマンガン電池を模し、平面型に置き換えたマンガン電池をつくってモーターカーに搭載して電池の性能を確認しました。
時間が経つのも忘れるほど夢中になった大人のための贅沢な化学実験になったのではないでしょうか。
参加者の感想も掲載しましたのでぜひご覧ください。
マンガン平面電池を搭載したモーターカー
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木下さん:
半導体の研究でスパッタなどの成膜実験はよく行っていますが、理科の実験を楽しく勉強することが久しぶりでとても有意義でした。
ビスマス結晶づくりは教えていただくと簡単ですが、ビスマス金属について身近にはなく展性・延性が低いなど知りませんでしたが、実際に棒をパキパキ折ったりして肌で感じることができました。結晶づくりについても、溶融させてからどれぐらいのタイミングで取り出すかなど熱の拡散を考えながら試行錯誤ができ、結果として3度トライしてやっときれいな結晶を作ることができました。
原理を知っていそうで案外知っていないマンガン電池では、添加剤が何のために入れているのか知ることができとても勉強になりました。作業では材料を均一に混ぜてることや電極に均一に塗布することが案外難しく、電極を取り付けてもモーターが動作しなかったらどうしようとヒヤヒヤしつつも、実際に稼働したときにはとてもホッとしたことが忘れられません。
本を読んで知識をつけることも重要ですが、実験を行って実際にモノをつくることは、楽しいだけではなく勉強をするモチベーションにもつながり、とても有意義でした。また次の機会があればぜひ参加させていただきたいと思います。ありがとうございました。
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もも:
いわゆる「文系」出身で、科学全般が面白くて興味があり参加しました。当初の(建前上の?)目的は、電池製造で使われる装置の営業の一助になればというものでした。様々な科学のことは教科書なりを見れば「分かる」のですが、体験として電池を理解できたことは、前後のプロセスも理解できるし、非常に仕事面でもプラスになったと思っています。
当初はあまり興味がなかったビスマスの結晶制作も、電池作りより奥深くて、非常に面白かったです。そもそも何でビスマスはこんなに奇妙な結晶構造を作れ、又美しいのか。。。心奪われました(笑)。頂いたビスマス結晶は居間に飾っております!
まだ製本職人だったファラデーが参加したデービー卿の化学実験は150年前に知識人のエンターテイメントだったと本で読んだことがあります。今回はそういった知的好奇心を掻き立てるものでした。ありがとうございます。「ロウソクの科学」を本になぞってやるなんて言われたら、是非参加したいです。又宜しくお願いします。
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協同インターナショナル 松橋様:
大人向けの化学のワークショップは珍しく、またビスマスの結晶を作れるとのことで参加させていただきました。結晶の出来栄えはいまいちでしたが、久々に実験を行え、楽しい時間を過ごさせていただきました。
このような機会がまたあれば、ぜひ参加させていただきたいと思います。
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後藤様:
この度は、化学実験ワークショップに参加させていただきありがとうございました。最近は化学実験の機会が少なくなり、かなり刺激的な経験をさせていただくことができました。
はじめに行ったビスマスの結晶作りでは、三角架が重さに絶えられずステンレス容器が傾いてビスマスが流れ出るといった化学実験の洗礼を久々に受け、学生実験を行なっていた昔を思い出しました。ビスマスの結晶は実験のやり方で色・形・大きさが変化し、参加者の皆様独自の方法を試されていてとても興味深かったです。さらに数時間はやり続けたかったですね。
次は、マンガン平面電池を作りましたが、炭素の粉で真っ黒に汚れるなど、これもまた科学実験の醍醐味を味わいました。作製した電池でモーターカーを走らせて競争したのですが、走るものと走らないものとでかなり差がつくことに驚きました。
このような刺激的な経験は、人生を豊かにするものと思います。是非、今後もこのような活動を続けていっていただければと思います。ありがとうございました。
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小島大様:
ビスマスの結晶づくり・ボルタの電堆などはよく知られている実験で、私もやってみたいなとは思っていました。ただし、実験に適した材料の調達が意外に難しい(特に金銭面、入手面において)ものなので、なかなか実現ができずにいましたが、今回の実験教室で手軽にできるように準備された状態で行うことができ、大変貴重な体験ができたなと思っています。
また、金属の素材の状態で観察できたり、実際に手に触れる事ができたのも非常に勉強になりました。
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越智俊一様:
以前ミネラルショーに行き、私の好物(鉱物)の緑柱石と輝安鉱を探していたら、そこで初めてビスマスの骸晶(今回初めてこの言葉を知った)を見て衝撃を受けた。「ビスマス人工結晶」として売っていた。「何だこれは?人工?」ずっと気になっていた。今回、案内を拝見し、「まさにあの時の!これを自分で作ることができるとは!」と速攻で参加を申し込んだ。
非常に満足致しました。すごく綺麗な骸晶ができました。もし売るなら高い値が付きそうです。自然の力には圧倒されます。まだメカニズムが十分理解できていません。
まさに高純度化学研究所さんから大いに「知的好奇心をくすぐられました。」もし、次の機会があれば(ブログ200回記念?)、喜んで参加致したいと思います。関係者の皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。
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宮本一弘様 化学科教諭:
11月2日(土)に,株式会社 高純度化学研究所 主催の実験研修会に参加しました。実験メニューは「ビスマスの結晶づくり」と「マンガン電池作り」でした。この2つの実験は,以前,高純度化学研究所の皆さんに勤務校に来ていただき,理化学部の中高生向けに実施してもらった実験でした。
「ビスマスの結晶づくり」は,ビスマスを加熱して融かし,冷やしたときにできる結晶を取り出すというものです。ビスマスの結晶は,表面にできる酸化被膜のために,さまざまなきれいな色が見られます。実施後,生徒たちは部活動の中でも,美しい結晶づくりを楽しんでいました。
「マンガン電池作り」では,電池を作った後に実施した,マンガン電池で動く車のレースに夢中でした。今回の実験研修会は大人向けということで,普段の生徒指導のことは忘れて,久しぶりに実験を満喫することができました。このような大人向けの実験研修会が,また行われるのを楽しみにしています。
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molちゃん:
教員という仕事柄,教員対象の実験研修会への参加が多いのですが,今回は研究・開発に携わる方々が多く参加されていて,他職種の方と共に化学実験ワークショップを行うことができてとても新鮮な体験となりました。
ビスマスの結晶作りでは,皆さん目を輝かせ,自発的に繰り返し実験にトライしました。綺麗な結晶が出来ると撮影しあうなど,好奇心旺盛な化学好きな方々が集まった空間を堪能させていただきました。
金属材料メーカーさんの企画だけあり,質感の高い実験材料を準備していただきました。例えば,普段の生徒実験ではボルタの電堆の実験は厚さ0.5mm程度の金属板を使用しているのですが,今回は直径30mm厚さ10mmの銅と亜鉛の円柱を5段積み重ねて作製しました。舎密開宗などに見られる図版と同じような装置を再現することができました。
また,マンガン乾電池の作製では,正極合剤を調製する行程で疎水性のカ-ボンと水を混合するために界面活性剤を加えることで水となじませたり電解質を混合したりしていくことで,ぺ-スト状に粘性を増していくことを体感することができました。正極合剤をグラファイトシート全体に塗って広げる行程では,より厚みが均等になるように,みなさん作業に集中していました。最後に各自が作製したマンガン乾電池でモーターカーのレ-スをするなど楽しい時間を過ごさせていただきました。
魅力的な実験の機会を提供してくださいました株式会社 高純度化学研究所のみなさま,実験会場を提供してくださいました株式会社 ナリカ様に篤く御礼申し上げます。
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H.M様:
内容は頭では理解していたはずなのですが、やはり「実験はやってみないと分からない」、ということを思い出しました。特にマンガン電池の実験は、思った以上に個人差がでて、非常に興味深かったです。
今後も、このような企画を期待しています。
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株式会社ナリカ様の実験室にて
高純度化学研究所 経営推進室
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