はじめに
高純度化学研究所は金属の溶解※1を生業としています。
しかも、みなさんがよくご存知の周期表に載っている”ありとあらゆる金属”を日々溶かしているのです。
※1:中学校・高等学校の教科書では「融解」という表現を用いますが、金属・非鉄金属業界では「溶解」という表現を一般的に用います。
実はこのような技術の中から”ビスマス結晶の作り方”は誕生しました。
そして、中学校や高等学校の生徒、さらには、学校の先生方が集まる勉強会などで演示し、実際にビスマス結晶作りを体験してもらっています。
たくさんの方が興味を示す”ビスマス結晶”
化学の学習動機付けのひとつとして関心を持ってもらえればと思います。
1.準備するもの
・ビスマス(Bi) 400g (インターネットで探せば5000円/kg程度で購入できます)
・ガスバーナー
・三脚
・三角架
・ステンレスカップ
・ステンレスバット
・ステンレスボール
・ペンチ
・断熱材
・スプーン
2.セッティング
ビスマスをステンレスカップに入れます。
(できるだけカップに触れるように入れると融けやすくなります)
三脚に三角架を載せ、ビスマスを入れたカップを載せます。
3.融解
ガスバーナーに火をつけます。※換気には十分注意してください※
火力は強めにしてください。5分程度で全量が融けます。
※ビスマスの融点は約270℃です。
4.融解の終了
さらに1分程度加熱を保持したらガスバーナーの火を消します。
5.結晶成長の準備
カップをペンチでつかみ、断熱材の上に移動します。
そして、表面に浮いている酸化物をスプーンですくい取り、ステンレスバットかボールに捨ててください。
(※酸化物を除去しても表面には酸化膜がつぎつぎに生成されます。表面が平らになればOKです。)
そして、そのまま衝撃などを与えずに放置します。
6.結晶成長
融液の中では、表面とカップの内壁面から結晶が少しずつ成長していきますので大きな衝撃を与えずに10分程度放置します。
7.鋳込み
断熱材、あるいは、カップの縁をスプーンやペンチで軽~く触れて振動を与えてみてください。
表面の波打ちを観察して、7~8割り程度固まるまで待ちましょう。
※ここからは、この実験で一番危険な作業です。注意してください※
7~8割り程度固まりましたか?
そしたら、ペンチでカップの縁をつかんで、まだ凝固していないカップ内の融液をステンレスボールに捨てます。
こんな感じで結晶が見えます!
※ビスマスは高温になっていますので触らないでください。
8.取り出し
カップ内のビスマスが充分に冷めたらカップから取り出します。
(カップを裏返して、床や実験台などに叩きつけると外れます)
これでビスマス結晶の出来上がりです。
写真は周りの余分なビスマスをペンチで除去したものになります。
不明な点があれば気軽にお問い合わせください。
改定:2018年6月19日
● 3.融解に「換気には十分注意してください」追記
改定:2018年6月20日
● ※1を追加
高純度化学研究所 企画室マーケティング
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